サル日記

さあさ、みんなでおファンク踊ろ!

いい映画を観た。

顔たち、ところどころ
監督 アニエス・ヴァルダ, JR

 素晴らしい映画だった。ドキュメンタリー映画のように見せかけた、ロードムービーの傑作だと思う。
 

 もちろんアニエス・ヴァルダはフランス・ヌーベル・バーグ左岸派として、みずみずしい「5時から7時までのクレオ」の監督なので言わずもがなだけれども、87歳にして衰えるどころか本作のような名作を撮るなんてさすがと感嘆するほかない。

 

 Amazon primeで観たんだけれど、レビューの賛否両論の振幅が激しかった。★印がひとつか五つという風に。オレ的に勝手な妄想をすると、おそらく★ひとつのひとは、これが「映画」であることがわからなかったんだと思う。アイデア一発で撮影を開始して、場当たり的にただ撮っていると勘ちがいして観てしまったのだろう。それはまったくの誤謬なんだなあ。なぜなら映画技法を駆使しているし、ちゃんと脚本もあるしロケハンもしているはずなんだ。もちろん演技も入っている。シロウトが出演しているからといってドキュメンタリーとは限らないのに、アニエス・ヴァルダの映画マジックに翻弄されちゃったんだろうなあ。案を練って計算ずくで撮影する。そしてそこに偶然性(即興性)を取り入れる。それこそヌーベル・バーグのファクターなのに。

 この映画に★をひとつしか付けなかったひとにはハリウッド映画だけが似つかわしい。